太陽を抱く月の原作(小説)をネタバレ!ドラマでは描き切れなかった背景・設定もよくわかる!細部までこだわり抜かれた最高の名著!
冬ソナブームの頃には興味がなかった韓ドラにハマって数年。
時代劇が好き。
そして復讐ドロドロ系にツッコミを入れたり、ラブロマンスにときめいたりの毎日です。
読み書きは今ひとつの耳だけハングルなので、最初に覚えた韓国語は、
「~씨(~ッシ)」「아이고(アイゴー)」「어머(オモ)」の3つ。
連絡先:whitelife112226@gmail.com
出典:https://program.imbc.com/sunNmoon
ヨヌを演じたハンガインさんも、ファンだと公言する原作者のチョン・ウングォルさん。
「太陽を抱く月」だけでなく、「トキメキ☆成均館スキャンダル」「ホン・チョンギ(紅天機)」の原作小説を書いた作家としても有名です。
今回は、原作(小説)とドラマの違いなどを詳しくお伝えします。
新たな視点で「太陽を抱く月」を楽しんでいただければ、幸いです♪
なお、ドラマ上の人物名はカナ(漢字)で、原作(小説)での人物名は漢字(カナ)で表記します。
<例>
- フォン、ヤンミョン(陽明)君はドラマ上の人物名
- 暄(フォン)、陽明(ヤンミョン)君は原作(小説)での人物名
それでは、さっそく見ていきましょう!
<目次>
もくじ
太陽を抱く月の原作(小説)をネタバレ!〜人物の違い編~
太陽を抱く月の原作読み終わった
ウンの描写がかなり多い印象 pic.twitter.com/NBr9GrMcCQ— ウルル (@JH_JH_35) March 23, 2021
原作(小説)を読んで、最初に感じたのが「背景やつながりが丁寧に描かれているなぁ」ということ。
これまでも
など、原作での描写をご紹介してきました。
今回は、上記3つの記事でお伝えできなかった部分を中心にネタバレしちゃいます。
そして原作との違いを
- 人物
- ストーリー
- ドラマには描かれない部分
の3つに分けてお伝えします。
【人物】
名前や年齢設定が違う
①ホ・ヨンジェ:ヨムとヨヌの父
原作ではホ・ミンギュ
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<同じ設定>
- 弘文館(ホンムンガン)大提学(テジェハク)
- 先王・成祖(ソンジョ)の信頼が厚い
<異なる設定>
儒学の立場から、昭格署(ソギョクソ)や星宿庁(ソンスチョン)の存在に懐疑的
※撤廃を望むことから、星宿庁(ソンスチョン)の都巫女(トムニョ)張(チャン)氏と対立
②チャン・ノギョン:星宿庁(ソンスチョン)の国巫(クンモ)
原作では張(チャン)氏、または都巫女(トムニョ)張(チャン)氏
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※星宿庁(ソンスチョン)の巫女は、みな「国巫(クンモ)」
長となる巫女が、「都巫女(トムニョ)」
<同じ設定>
大妃(テビ)に、ホ・ヨヌを呪術で殺すよう命じられる
<異なる設定>
張(チャン)氏は、酒好きのおばあさん(高齢)
星宿庁(ソンスチョン)撤廃派のホ・ミンギュ(炎・煙雨の父)を苦しめるため、煙雨(ヨヌ)が神がかりによる病だと見せかけた
※煙雨の命を奪うことをためらい、仮死状態で助かるように仕組んだ
③ヒョンソン:フォン付きの内官
原作ではチャ内官
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<同じ設定>
フォンが世子の頃から仕えている
<異なる設定>
暄(フォン)が、煙雨(ヨヌ)の葬儀へ行けるよう宮廷の外へ連れ出した
※ドラマでは、世子翊衛司(イグィサ)によって足止めされヨヌのもとへ行っていない
許可なく暄(フォン)を連れ出した罰で、チャ内官は足を折られ免職となった
(これ以降、足が不自由となる)
暄(フォン)が国王となったときに、復職!
④ホン・ギュテ:禁義府(ウィグムブ)都事(トサ)
原作では、チョ・ギホ
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<同じ設定>
- 成均館(ソンギュンカン)の儒学生時代に、フォンの世子嬪選びで力となった
- 禁義府(ウィグムブ)所属
- ヨヌの死の真相を探るため、フォンの命を受けて働く
<異なる設定>
ヨヌに対する呪術の真相を探っている途中で、ユン・デヒョンらによって非業の死を遂げる
ドラマのみ登場する人物
①アリ:星宿庁(ソンスチョン)の巫女
チャン・ノギョンの親友
強い霊力で、ウィソン(義城)君を狙った“殺意”に気づく
暗殺現場を目撃したため、ユン・デヒョンらに命を狙われる
ヨヌをお腹に宿していたシン氏に助けられ、やがて生まれてくるヨヌを守るようノギョンに頼む
②ウィソン(義城)君:成祖(ソンジョ)の異母兄弟
謀反の罪を被せられたまま、暗殺される
アリが、ウィソン(義城)君の屋敷の奴婢だったことから、大妃(テビ)らによって「霊力を使って王位を手に入れようとした」とでっち上げられる
※2つの太陽が存在したときの”末路”を象徴
王位継承権をもつ優秀な男子が2人…”ヤンミョン(陽明)君の最期”を予感させる
原作(小説)のみ登場する人物
①朴(パク)氏:雲(ウン)の父親であるキム・ユニョンの正妻
雲(ウン)を我が子と思って育てている
口ぐせは「ウン、惜しいな…」
正妻である自分が産んでいれば、身分の差別を受けることなく、望む官職に就くことができるのに…という思い
朴(パク)家は、代々王を護衛する「雲剣(ウンゴム)」を排出する名門。
太陽を抱く月 で一番お気に入りのキャラはウンでした。剣超強い人大好き~💕
調べたらこの俳優さんこれが初出演作だとか?だからか、素朴な初々しさとウンの控えめなキャラがよく似合っていたわ✨いやー素敵でした。私もお側に置きたい。 pic.twitter.com/LFwmk4k5bT— くろみつきなこ (@ikikyrny) December 3, 2020
原作(小説)では、先王・成祖(ソンジョ)へ「世子嬪(セジャビン)揀択(カンテク)に関わる真相報告書」を上げたのが朴(パク)氏。
封印せざるを得なかった「先王の密書」を預かっていたのも朴(パク)氏。
暄(フォン)がユン・デヒョンら謀反一味と対決するとき、煙雨(ヨヌ)を匿(かくま)い、身の安全を守ったのも朴(パク)氏。
暄(フォン)が、ユン・デヒョンらに気づかれず王の私兵を育成するのに一役買った=王の私有財産を秘密裏に動かすなど、も朴(パク)氏による。
※ドラマで、フォンがウンに「準備は?」と尋ねるのも、ウンを通して朴(パク)氏らに命じていたため
②パク・ヒョウン:雲(ウン)の剣術の師
- 朴(パク)氏の弟
- 前雲剣(ウンゴム)隊長
暄(フォン)の私兵を育成指導する。
また、暄(フォン)がユン・デヒョンら謀反一味と対決するとき、「雲剣(ウンゴム)」として、暄(フォン)と反乱軍の兵士との間に入り護衛する。
※この戦いでは、5人の兜をつけた「前雲剣(ウンゴム)」が登場する
ジェウンは兜をつけずに姿を現す
※通常、暄(フォン)の護衛はジェウン(雲)ひとりのみ
- かつて、ジェウンひとりで前雲剣(ウンゴム)5人を倒したこと
- さらに、暄(フォン)がジェウン(雲)しか信用しなかったため
反乱軍を制圧した後、大都護府使(テドホブサ)*に任じられる
*大都護府使(テドホブサ):地方行政武官(正三品)
人物像に違いがある
①フォン
- ドラマでは、ヨヌの誕生祝いとして伽耶琴(カヤグム)の稽古をするが、上達しない
- 代わりに見よう見まねで練習したヒョンソンが琴を奏でる
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原作(小説)では、琴の名手!
王妃・煙雨(ヨヌ)のために、国王・暄(フォン)が玄琴(コムンゴ)を奏でる
これは、世子のころ
「いつか煙雨(ヨヌ)に会える日が来たら、玄琴(コムンゴ)の調べを聴かせてやる」
と言ったこと
月(ウォル)にほしいものを尋ねたら
「調べ…玄琴(コムンゴ)の調べを聴きたい」
と返答を受けたこと
この2つの場面を受けています。
<ミニ解説:伽耶琴と玄琴>
どちらも朝鮮の伝統楽器
■伽耶琴(カヤグム)
伽耶国で生まれた
弦は12本
爪でなく、指で弾いて演奏する
■玄琴(コムンゴ)
日本の琴に似た形
弦は6本
木の棒(スルテ)で演奏する
②ヤンミョン(陽明)君
ドラマでは、少年の頃からヨヌ一筋
原作(小説)では、結婚し死別
(その後、独り身を通す)
次に、原作とのストーリーの違いで大きなものを紹介します。
太陽を抱く月の原作(小説)をネタバレ!〜ストーリーの違い編~
まずはこの2人の出会いから!
フォンとヨヌの出会いは?
ドラマでは、世子フォンと少女ヨヌが「隠月閣(ウンウォルガク)」で偶然出会いました。
そして、手紙の交換をして互いの想いを通わせます。
フォンがウォルにヨヌの面影をみるのも、少女時代の様子を知っているからです。
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原作(小説)では、暄(フォン)は師である炎(ヨム)に妹がいると聞いて興味津々。
炎(ヨム)に黒飴をお土産として持たせたり(笑)
一般家庭ではめずらしい胡桃おこしを「自分がやったと言ってもいい」と持たせたり(笑笑)
煙雨(ヨヌ)は詩が好きだと聞くと、「自分も同じ詩が好きだと伝えるように」と念を押したり(笑笑笑)
まだ見ぬ煙雨(ヨヌ)を想像するばかり。
とうとう、煙雨(ヨヌ)を想う陽明(ヤンミョン)君に、煙雨(ヨヌ)の姿を尋ねます。
※陽明(ヤンミョン)君は、ホ・ミンギュのもとで学問を学んでおり、煙雨(ヨヌ)を見たことがある
暄(フォン)の真意を悟った陽明(ヤンミョン)君は、
『ヨムとは雲泥の差でした。なんという不細工』
『今まで見た女人の中であれほどの不細工は初めてです』
引用:小説「太陽を抱く月」 チョン・ウォングォル
と答え、暄(フォン)の恋心がそれ以上大きくならないように努めます。
つまり、暄(フォン)は一度も煙雨(ヨヌ)の顔を見たことがないので、月(ウォル)に会った時も“どこかで会ったことがあるような”胸騒ぎがするだけなのです。
ヨヌは世子嬪(セジャビン)に選ばれた?
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ドラマでは、公正な「世子嬪(セジャビン)選び=揀択(カンテク)」が行われ、ヨヌは世子嬪に決まります。
婚礼の儀を控え、隠月閣(ウンウォルガク)で過ごすことに。
原作(小説)では、成均館(ソンギュンカン)のチョ・ギホ(ドラマではホン・ギュテ)らの動きにより「公正な揀択(カンテク)」が行われ、煙雨(ヨヌ)が選ばれます。
その後、原因不明の病で病死とされた煙雨(ヨヌ)
ここで力を持つ尹(ユン)氏一族の横槍が!
世子の嘉礼(カレ)*は「揀択・納采・納徴・告期・冊嬪・新迎・同牢」の順序
*嘉礼(カレ):王室の結婚式
煙雨(ヨヌ)は「納采」まで終えていました。
通常は、「揀択(カンテク)」を受けると、「事実上の世子嬪(セジャビン)」とみなされます。
しかし、王から正式の文書が与えられるのは「冊嬪」
そのため、煙雨(ヨヌ)は世子嬪(セジャビン)ですらなかったことに。
尹(ユン)氏にとって、許煙雨(ホ・ヨヌ)が世子嬪(セジャビン)として亡くなったとなると、宝鏡(ボギョン)は2番目の王妃=継妃にしかなれないので、それを阻止したというわけです。
ヨヌを救ったのは誰?
ドラマでは、ヨヌの棺をノギョンとヘガク道士が掘り起こして助けます。
薬で仮死状態にしたという設定でしたね。
原作(小説)では、煙雨(ヨヌ)は神がかりの病であると秘かに言われます。
両班の家門からそのような病の者を出すこと自体、不吉で忌み嫌われることでした。
本当は呪術によって原因不明の病になったのですが、人物編でもお伝えしたように、張(チャン)氏は星宿庁(ソンスチョン)を潰そうとしたホ・ミンギュ(ドラマではホ・ヨンジェ)を恨んでいたために二重三重の苦しみを与えようとしたのです。
仮に病から回復したとしても、生涯世間から後ろ指を指されて生きる娘を哀れに思った父ミンギュは、自らの手で煙雨(ヨヌ)に毒薬を飲ませます。
しかし!
本来の運命は、暄(フォン)と煙雨(ヨヌ)であると知っている張(チャン)氏。
ミンギュに渡したのは「半日だけ仮死状態になる薬」でした。
それとは知らせず、ただ「半日以内に葬儀を行うよう」伝えていた張(チャン)氏。
(後で助ける心づもり)
張(チャン)氏の腹の底など知らないミンギュは、我が手で娘を死なせた後悔で、なかなか葬儀を出せません。
半日が過ぎ、助かる見込みがなくなった煙雨(ヨヌ)を救ったのは…
チャ内官(ドラマではヒョンソン)らの助けにより、宮廷を抜け出した暄(フォン)!!
ひと目、煙雨(ヨヌ)を見ようと小さな棺に走りよった衝撃で、棺が揺れ、煙雨(ヨヌ)は息を吹き返したのでした。
ヨヌの記憶
ドラマでは、狭い棺に閉じ込められ苦しくてもがくヨヌ。
間一髪のところで、ノギョンとヘガク道士に助け出されたものの、それまでの記憶を失ったというものでした。
第7話で、フォンとウンがヨヌの幻に導かれるようにたどり着いた木立の中の家で、記憶を失った名前のない女性(ヨヌ)と運命の再会を果たします。
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が、記憶のないヨヌは、自分の生まれだけでなく名前すら知らないと答えるだけ。
フォンは不思議な女性に“ウォル”と名付けるのでしたね。
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ちなみに、第14話の隠月閣(ウンウォルガク)で、ウォルはヨヌの記憶を完全に取り戻します。
原作(小説)では、民衆の真実の姿を見てまわった暄(フォン)と雲(ウン)
雨の夜、一軒の巫堂(ムーダン)にたどり着きます。
出迎えた女性の美しさだけでなく、身のこなしやどこか記憶にある香りなどに戸惑う暄(フォン)
雲(ウン)は、このとき横顔にみた彼女の悲しみに心を奪われます。
家族もなく、名前すらなく生きてきたと語る女性。
苛立ちながらも暄(フォン)は“月(ウォル)”と名付けます。
暄(フォン)と雲(ウン)が立ち去るとき
月(ウォル)が見送っていないと聞き
『そうでないとな。それでこそ私の心の痛みも和らぐから。ウン、月の光がこんなにまぶしいとは、今日になるまで知らなかった』
引用:小説「太陽を抱く月」 チョン・ウォングォル
と言う暄(フォン)
暄(フォン)が一度も振り返らなかったと聞き
『そうでないとね。それでこそ私の心の悲しさも和らぐもの。ソル、月の光がこんなにまぶしいとは、今日になるまで知らなかったわ』
引用:小説「太陽を抱く月」 チョン・ウォングォル
と言う月(ウォル)
実は、煙雨(ヨヌ)としての記憶を持ちながら生きてきた彼女は、ずっと会いたかった暄(フォン)の衣装に染みこむ霧雨*とともに心をのせて見送ると語るのです。
*煙雨(ヨヌ)とは「霧雨」の意味をもつ
厄受巫女として暄(フォン)のそばにいるときも、煙雨(ヨヌ)と名乗り出ることの叶わない運命に、深い悲しみを感じる月(ウォル)
このように原作(小説)では、煙雨(ヨヌ)は思い出も記憶もそのままで、暄(フォン)の近くにいます。
時にうっかり「先王(=成祖)と暄(フォン)がよく似ている」と言い、取り繕うハメになるときも。
※国王の顔を見ることができるのは、身分の高い限られた人のみ(身分の低い巫女が、王の顔を知っているなどあり得ない)
詳細に見ていくと、他にもたくさん原作(小説)とドラマの違いはあります。
機会があれば、原作小説とドラマをじっくりと見比べてお楽しみください♪
次のコーナーでは、原作(小説)を読んでなければちょっと分かりづらい「ドラマでは詳しく描かれなかった場面」について取り上げます。
太陽を抱く月の原作(小説)をネタバレ!〜ドラマでは描かれなかった部分編~
暗にほのめかす、人物設定としてベースにあるというものの、ドラマでは描かれなかった部分を紹介します。
【ドラマでは描かれなかった部分】
成祖(ソンジョ):父としての愛
出典:https://program.imbc.com/sunNmoon
我が子・陽明(ヤンミョン)君へ
宮廷の外で暮らすしかない*陽明(ヤンミョン)君
*王位継承権をもつ男子は、世子以外、宮廷の外で暮らさなければならない
少年時代に煙雨(ヨヌ)に出会い、一途に思い続ける陽明(ヤンミョン)君からこう切り出された場面。
『小臣、主上殿下にお目にかかって申し上げたいことがあって参りました』
引用:小説「太陽を抱く月」 チョン・ウォングォル
*「小臣=소신(ソシン)」:自身をへりくだって述べる
*「主上殿下=주상전하(チュサンヂョナ)」:王様
『小臣、いつになってもかまいませんが、必ずや妻に迎えたい女人がいます。どうか小臣の小さな願いをお聞き届けください』
『どこの家の娘か?』
『大提学(テジェハク)ホ・ミンギュの娘、ホ・ヨヌです。美しく、本もたくさん読む少女で…』
『その娘の自慢で夜を徹するのか?』
引用:小説「太陽を抱く月」 チョン・ウォングォル
日ごろ、陽明(ヤンミョン)君に対して、笑顔を見せることのない父王・成祖(ソンジョ)がにっこり笑って返答します。
『わかった。世子の嘉礼(カレ)*が済んだら考えよう』
引用:小説「太陽を抱く月」 チョン・ウォングォル
*嘉礼(カレ):王室の結婚式
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その後、陽明(ヤンミョン)君の期待は、ドラマでも原作(小説)でも裏切られることに!
約束をした覚えはない(考えておく、と言っただけ)と。
のちに、成祖(ソンジョ)が吐露した言葉には、父として我が子を思う気持ちがあふれています。
『余の前で世子は私というのだな。だが陽明(ヤンミョン)は、きちんきちんと小臣と言う。いつからだろう…。余はだめな父親だ。それすらわかっていないとは』
引用:小説「太陽を抱く月」 チョン・ウォングォル
『ホ・ヨヌという娘が、本当に未来の交泰殿(キョテジョン)の主人(あるじ)*なのか?』
引用:小説「太陽を抱く月」 チョン・ウォングォル
*交泰殿(キョテジョン)の主人(あるじ)=王妃
『天運や四柱など、このお手紙に比べればなんでもありません。このお手紙がすでに未来を語っているのに、ほかに何が要りましょう』
『陽明(ヤンミョン)君が息子として初めてこの父に願ったのが、ホ・ヨヌという娘なのだ。
余は陽明(ヤンミョン)君の願いを聞いてやりたい。ひょっとしたら最初で最後かもしれない、可哀想な余の息子の願いを…』
『余は最後まで、陽明(ヤンミョン)君に悪いことをしなければならないのか!』
引用:小説「太陽を抱く月」 チョン・ウォングォル
もうひとりの息子・世子である暄(フォン)が、昼も夜も肌身離さず持ち歩くという文の束を読んだとき…成祖(ソンジョ)は、父として、また国王として、苦渋の決断をしなければならなくなったのです。
そして、最後のとき。
煙雨(ヨヌ)の謎の死、その父ホ・ミンギュの死に対し、自らを責めつづけた成祖(ソンジョ)。
ヘガク道士は、煙雨(ヨヌ)が張(チャン)氏に保護され、生きているらしいことを成祖(ソンジョ)に伝えようとします。
しかし、周囲には煙雨(ヨヌ)の死を願った者たちの姿も。
そのため、ヘガク道士は伝えるすべもなく、遠くから臨終の姿を見ることになります。
“世子と陽明(ヤンミョン)君と臣僚に取りまかれて目を閉じた瞬間、父王は死にゆく手を伸ばした。
片方は世子、片方は不遇の子・陽明(ヤンミョン)君へ”
“が結局、見守る多くの臣下の目を恐れ、庶長子にのばしかけた手も、世子にふたつ重ねるしかなかった”
“父を見守る陽明(ヤンミョン)君の恨めしげな瞳を胸におさめ、どうしても握れなかったゆえ、よけいに痛む心を死に埋め、さらにたくさんの秘密を抱えて、父王はそうして目を閉じた”
引用:小説「太陽を抱く月」 チョン・ウォングォル
庶子(側室の産んだ王子)とはいえ、世子の兄である陽明(ヤンミョン)君。
成祖(ソンジョ)は、愛する息子が政争の道具とされないよう精いっぱい気遣っていたのでした。
もし、成祖(ソンジョ)が人前で世子と同じように陽明(ヤンミョン)君の才能を認め、父としての情を示していたら…世子を廃し、陽明(ヤンミョン)君を担ごうとする集団が現れかねません。
その企みが成功すれば、世子の死。
失敗に終われば、謀反の首謀者として陽明(ヤンミョン)君が死ぬことに。
そのため、成祖(ソンジョ)は父としての愛情を胸の内に秘めておくしかなかったのです。
雪(ソル):情熱的な愛
ソルかわいいやん!
太陽を抱く月 pic.twitter.com/yPoD12W0UA— イ・チャングン (@ponsangun) July 27, 2014
雪(ソル)は、何度となく炎(ヨム)の姿を遠くから見るため、その屋敷を訪れます。
張(チャン)氏にたびたび「屋敷に行ってはならない」と念を押されるにもかかわらず、です。
そして、ある日大胆な行動をとる雪(ソル)
かなり大人の恋愛なのでここでは紹介しませんが、恋の炎に身を焦がしても…という炎(ヨム)の愛を求めずにはいられない姿も描かれています。
※詳細は、ソルの恋と死の記事で紹介しています。
雲(ウン):初恋と忠誠のはざま
太陽を抱く月 今朝も雲剣(ウンゴム)は横顔が素晴らしく美しい! #ソンジェリム #송재림 pic.twitter.com/H3XQNAMH4K
— RITZ (@ritzzx2) November 16, 2015
『雲は月をさえぎるのみ、だが雲も雨は抱ける。』
引用:小説「太陽を抱く月」 チョン・ウォングォル
この言葉に表されるように、「月(ウォル)=煙雨(ヨヌ)」への想いを抱きつづけた雲(ウン)
公式サイトの人物設定では「ウォルへの想いとフォンへの忠誠心で悩む」となっていたものの、ドラマでは、ウンの恋心は控えめな描写でした。
悲しみを背負って生きてきた雲(ウン)は、名を名乗ることのできない月(ウォル)の寂しさや痛みにいち早く気づきます!
表立って、恋慕の情を表現することはありませんが、悲しみのなかにいる月(ウォル)の影をなで、少しでも慰めようとする場面など、印象的な描写が多々あります。
※詳細は、ウンの恋心の記事で紹介しています。
許(ホ)家の罪
いくつかの記事内で「ミナ公主がヨムと結婚したことで、ホ家は助けられた」とお伝えしてきました。
背景や事情が分かりづらいかもしれませんので、お伝えします。
こんにちは😃
太陽を抱く月、観終わりました。
ヤンミョンが亡くなる場面は、号泣(´༎ຶོρ༎ຶོ`)
ヨムとミナがまた一緒になれた事が本当に良かった😊 pic.twitter.com/KcUSHXoPvP— amo_coreanos (@japoncorealatin) September 1, 2019
<罪その1>
病にかかっていながら、「世子嬪(セジャビン)」に選ばれた煙雨(ヨヌ)
次の国王(世継ぎ)を産むのも大切な役割である王妃。
世子、つまりいずれ国王となる人物のお妃が”健康なこと”は必要です。
「世子嬪」に選ばれてすぐに症状が出たということは、「揀択(カンテク)時点で病だった(知らなかったとしても)」ということ。
王朝の存続がかかる重大事なので、煙雨(ヨヌ)は罪人になります。
<罪その2>
家族(妹)が病人であるにもかかわらず、「世子の師」として宮廷に出入りした炎(ヨム)
もし感染しやすい病だとしたら、世子である暄(フォン)にうつすかもしれません。
また今回のように原因不明の病に、世子をはじめとした宮中の者たちがかかったとしたら?
これも王朝の存続がかかる重大事なので、炎(ヨム)は罪人になります。
<罪その3>
許(ホ)家の家長として、娘の病や兄の行動が及ぼしかねない影響などについて、”管理不行き届き”となるホ・ミンギュ。
「国舅(クック)」になるやもしれない立場でありながら、家族の健康状態ですら分かっていなかったとして、大提学(テジェハク)のミンギュも罪人になります。
このような罪を背負う立場となったホ・ミンギュと許(ホ)家。
「家門断絶」となってもおかしくないところ、公主であるミナ王女と炎(ヨム)の婚姻が成立*したことで、家を存続することが可能となりました。
*通常であれば、「重罪人を出した許(ホ)家に公主を嫁がせる」などあり得ないと思われます
これは、王族の中で最も力を持つ大妃(テビ)の後押しがあったからこそ、可能になることでしょう。
自身の出身・尹(ユン)家にとってジャマとなる、許煙雨(ホ・ヨヌ)を除きたかった大妃(テビ)呪術を行うにあたり、一途なミナ公主の想いを利用した見返りが、炎(ヨム)との結婚だったのですね。
出典:https://program.imbc.com/sunNmoon
さらに、気落ちしている母・申(シン)氏を娘のように側にいて、慰めとなったのもミナ公主の存在です。
このようなことがあり、罪人の家に嫁いできてくれた王女に対し、炎(ヨム)は感謝の念でいっぱいです。
といっても、我が子を死に至らしめた罪の意識で父ミンギュを亡くし、公主と結婚したことで官職に就くことが叶わなくなった炎(ヨム)の許(ホ)家は、政治的な影響力を全くもたないことを意味します。
先王・成祖(ソンジョ)が、我が子・暄(フォン)が国王となったときの「右腕」として嘱望(しょくぼう)していた炎(ヨム)
彼がその能力を発揮できないのは、国にとっても大きな痛手だったことでしょう。
続いて、「太陽を抱く月」原作(小説)を読んだ感想をシェアしたいと思います。
太陽を抱く月の原作(小説)の感想
今日は学校の図書館掃除してたら見つけた!!!❤️❤️❤️
太陽を抱く月の原作本❤️ pic.twitter.com/HDvEWlgVdz— すゆん (@rose_belle09) June 19, 2017
最初に触れたように「背景やつながりが丁寧に描かれている」というのが全体の印象です。
弘文館(ホンムンガン)大提学(テジェハク)の立場からもホ・ミンギュ(ドラマでは、ホ・ヨンジェ)は、昭格署(ソギョクソ)や星宿庁(ソンスチョン)の存続に反対。
それを恨んでいた都巫女(トムニョ)張(チャン)氏は、星宿庁(ソンスチョン)の存亡だけでなく、復讐心もあり、ホ・ミンギュを苦しめる呪術=娘・煙雨(ヨヌ)を呪うに加担します。
その一方で、人並み外れた神力をもつ張(チャン)氏は、天の定めも理解していて、煙雨(ヨヌ)を救う行動もとるという不思議な人物です。
酒飲みで、かなり口の悪いおばあさん張(チャン)氏。
彼女のセリフとして語られる部分には、人の強さと弱さ、善と悪、喜びと怒りといった人生における二面性を感じます。
そして、人としての器や目には見えない人知を超えた存在など、”教師でもあり、反面教師でもある奥行き”に心惹かれました。
意外と張(チャン)氏ファンなのかもしれません(笑)
太陽となり得る2人の人物。
暄(フォン)と陽明(ヤンミョン)君。
一方で、月として輝く煙雨(ヨヌ)と、月光を映す鏡にしかなれない宝鏡(ボギョン)
太陽はひとつだと、自らの運命を決めた陽明(ヤンミョン)君。
大人たちの力で王妃になってしまった宝鏡(ボギョン)の不安な生き方。
物語とはいえ、その魂を慰めたくなるのは、憐れを感じるからでしょうか。
この4人の愛と情が中心にあることは間違いありませんが、原作(小説)にはさまざまな愛が描かれています。
父として、母として、我が子を思う成祖(ソンジョ)や大妃韓(ハン)氏、晞嬪(ヒビン)パク氏。ホ・ミンギュや申(シン)氏も。
それぞれ子を思う親の気持ちが痛いほど伝わってきて、胸が痛くなります。
さらに、雲(ウン)の育ての親・朴(パク)氏。
無口で感情を表に出さない雲(ウン)を常に気遣い、恋の痛手すら包みこむ、その深い愛に何度も救われた気がしました。
また、この記事では触れませんでしたが、反乱軍を制した後、暄(フォン)の許可により嫡子扱いとなった雲(ウン)
それまで「奥方様」と呼んでいた朴(パク)氏のことを、雲(ウン)が初めて「おかあさま」と呼ぶ場面があります。ここは…思わず涙が出ます。
雪(ソル)の命を賭けた愛、ミナ公主の一途な愛、炎(ヨム)の許す愛…どれもが、過去の出来事と結びついていて、脇役とは呼べない気がします。
悲恋や別れがあっても、小説全体にぬくもりを感じるのは、やはり相思相愛の暄(フォン)と煙雨(ヨヌ)の存在。
互いの心情を思いやり、その周りの方の幸せまで願う、深くて広い愛があるからでしょうね。
最後に、「太陽を抱く月」原作(小説)とドラマの違いをまとめてこの記事を終わります。
太陽を抱く月の原作(小説)をネタバレ!~まとめ~
今回、「太陽を抱く月」原作(小説)を基準に、人物・ストーリー・ドラマには描かれない部分の3つの視点でお伝えしました。
人物像などの違いもありますが、何といっても
- 世子暄(フォン)と煙雨(ヨヌ)は大人になるまで会ったことがない
- 煙雨(ヨヌ)は世子嬪(セジャビン)として正式に記録されていなかった
- 煙雨(ヨヌ)は記憶を失っていない
というのが大きな違いではないでしょうか。
ドラマにしか登場しない人物、逆に原作(小説)にしか登場しない人物。
それぞれがドラマ・小説で果たす役割にも思いを馳せながら、両方とも楽しんでいただけたら…
と願っています。
出典:https://program.imbc.com/sunNmoon
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冬ソナブームの頃には興味がなかった韓ドラにハマって数年。
時代劇が好き。
そして復讐ドロドロ系にツッコミを入れたり、ラブロマンスにときめいたりの毎日です。
読み書きは今ひとつの耳だけハングルなので、最初に覚えた韓国語は、
「~씨(~ッシ)」「아이고(アイゴー)」「어머(オモ)」の3つ。
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