麗の原作(中国版小説)をネタバレ!清王朝での後継者争いと女性たちの憎悪と嫉妬!韓ドラ版の名場面とも比較しながら徹底紹介!
冬ソナブームの頃には興味がなかった韓ドラにハマって数年。
時代劇が好き。
そして復讐ドロドロ系にツッコミを入れたり、ラブロマンスにときめいたりの毎日です。
読み書きは今ひとつの耳だけハングルなので、最初に覚えた韓国語は、
「~씨(~ッシ)」「아이고(アイゴー)」「어머(オモ)」の3つ。
連絡先:whitelife112226@gmail.com
出典:https://programs.sbs.co.kr/drama/scarletheart/
現代っ子の魂をもった女性がタイムスリップして、学校で学んだ「歴史」の世界へ。
彼女の記憶にあるのは、激しい権力争いと敗者の悲しい末路。
大きな歴史の流れは変えられなくとも、せめて血を流す争いを避けることができるのなら……
こうして、歴史とフィクションが融合する物語へと視聴者も誘われるドラマ「麗」
今回はその原作・中国小説「步步惊心(歩歩驚心)」を取り上げます。
小説のどの部分が使われているのか、原作との違いは何かなど、ドラマ「麗」がさらに楽しめる情報満載の予定(笑)
どうぞお楽しみください♪
なお、混乱を少しでも避けるため、
- 「麗」の皇子たちは第4皇子のようにアラビア数字
- 原作「步步惊心(歩歩驚心)」の皇子たちは第四皇子のように漢数字
で表記します。
<目次>
<麗の原作(中国版小説)とドラマの違い>
<麗の原作(中国版小説)とドラマでのラブラインの比較>
もくじ
麗の原作(中国版小説)をネタバレ!
【11月の単行本★新刊】中国ドラマ『宮廷女官若曦(ジャクギ)』&韓国ドラマ『麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~』の大人気原作小説、「歩歩驚心(ホホキョウシン)~花萌ゆる皇子たち~ (上)」本日発売、要チェック!! pic.twitter.com/yFem8eJ8tW
— ウィングス編集部 (@Wings_Official) November 25, 2016
原作を読んで、国は違っていても、このように共通点の多い(と感じる)出来事が起きていたのだいう悲しみと虚しさが入り混じる感覚を覚えました。
記録として後世に伝えられたものをベースに、記録には残らないものを想像豊かに作品として仕上げていく作者の世界に惹き込まれてしまいます。
ここでは小説をご存じない方でもわかった気分になれるよう、原作と関係する歴史の流れからお伝えします。
原作小説
「步步惊心(歩歩驚心)」 桐華(トン・ホァ)著
※桐華(トン・ホァ)さんは、小説の多くがドラマ・映画化されるなど人気作家
(原作を読もうと思ったものの、日本では下巻が手に入りづらく、図書館で借りて読むことになりました)
表記
- 日本語版では「歩歩驚心」
- 中国語版では「步步惊心」
※『惊』は日本で用いる漢字の『驚』に相当
また、この記事では、小説「步步惊心(歩歩驚心)」にそって人名など記します。
物語の舞台
”康熙(こうき)43年(1704年)”〜”雍正(ようせい)13=乾隆(かんりゅう/けんりゅう)元年(1735年)”の清
※原作小説(日本版)では「乾隆(かんりゅう)」と読み仮名をふっている
のちに“九王奪嫡(きゅうおうだっちゃく)”と呼ばれる、康熙(こうき)帝の9人の皇子たちによる皇位争いを縦軸に、皇子たちとその周辺の女性たちによる入り組んだ愛憎を横軸に織り込んだ作品。
つまり「步步惊心(歩歩驚心)」で主に出てくる皇子たちは”9人”です。
(他の皇子たちも登場しますが、大きな出来事には関与しません)
「麗」は”8人”の皇子でしたね。
のちほど原作と設定が共通する人物、異なる人物についてお伝えします。
「步步惊心(歩歩驚心)」を原作とする中国ドラマ
「宮廷女官 若曦(じゃくぎ)」
出典:https://wiki.d-addicts.com/Scarlet_Heart
■「宮廷女官 若曦(じゃくぎ)」予告動画
あらすじ・流れ
ヒロイン:馬爾泰(ばじたい)若曦(じゃくぎ)
現代では”張暁(ちょうぎょう)”という名の会社員。
交通事故により意識を失ったあと、清の時代に生きる少女の身体で目覚める。
姉は若蘭(じゃくらん)
康熙(こうき)帝の第八皇子・胤禩(いんし)の側室。
“あごは細く、肌は白くなめらかな”美人。
おとなしく1日の大半を読経に費やす。
現代に戻れそうになく、清の時代に生きる覚悟を決めた張暁(ちょうぎょう)こと若曦(じゃくぎ)は、歴史の知識、25歳の人生経験を活かして、宮廷内で物おじせずに振る舞う。
18世紀当時の女性には珍しい考え方や行動、さらに年齢に比して大人びた身の処し方で、皇子たちだけでなく、第4代・康熙(こうき)帝にも気に入られる。
姉の夫でもある第八皇子に惹かれ、彼も若曦(じゃくぎ)との婚姻を望むように。
歴史を知る若曦(じゃくぎ)は、次の皇帝である”雍正(ようせい)帝=第四皇子・胤禛(いんしん)”と皇位争いをする第八皇子に、皇帝の座を諦めるよう願うが聞き入れてもらえない。
第八皇子との別れを選んだ若曦(じゃくぎ)は、徐々に第四皇子との距離が縮まっていく……
主な登場人物
- 馬爾泰(ばじたい)若曦(じゃくぎ)
現代人の魂をもった清時代の女性
満州族の家柄
第八皇子側室の妹
宮女として康熙帝に仕える
一時期、罰により浣衣局(かんいきょく)に送られる
康熙(こうき)帝とその皇子たち
愛新覚羅(あいしんかくら)一族
※清王朝最後の皇帝が、愛新覚羅溥儀(ふぎ)=ラストエンペラー
- 康熙(こうき)帝:第4代清国皇帝
- 第一皇子:胤禔(いんし)
- 第二皇子:胤礽(いんじょう)皇太子
- 第三皇子:胤祉(いんし)
- 第四皇子:胤禛(いんしん)のちの第5代・雍正(ようせい)帝
- 第八皇子:胤禩(いんし)
- 第九皇子:胤禟(いんとう)
- 第十皇子:胤䄉(いんが)
- 第十三皇子:胤祥(いんしょう)
- 第十四皇子:胤禎(いんてい)
正室・側室など(原作に登場する人物)
- 第四皇子:正室・烏拉那拉(うらなら)氏
- 第八皇子:正室・郭絡羅(かくらくら)明慧(めいけい)、側室・馬爾泰(ばじたい)若蘭(じゃくらん)
- 第十皇子:正室・郭絡羅(かくらくら)明玉(めいぎょく)
- 第十三皇子:正室・兆佳(じょぎゃ)氏、側室・富察(ふちゃ)氏、恋人・緑蕪(りょくぶ)
- 第十四皇子:正室・完顏(かんがん)氏、側室・舒舒覚羅(じょかくかくら)氏、伊爾根覺羅(いじこんかくら)氏
王族
- 蘇完瓜爾佳(そかんかじか)敏敏(びんびん):モンゴル王の娘
侍女
- 巧慧(こうけい):若蘭(じゃくらん)、のちに若曦(じゃくぎ)に仕える
- 玉檀(ぎょくだん):若曦(じゃくぎ)に仕える
皇子たちの名前も似ているので、ちょっと分かりづらいですよね。
原作の人物と、「麗」8人の皇子たちを比べてみましょう!
何となく……展開が読めそうな気がしませんか?
小説といえども、歴史の流れを変えることはできません。
清王朝で、康熙(こうき)帝のあとを継ぐ争いに参加した(と考えられている)のが、以下の9人の皇子たち!
- 第一皇子
- 第二皇子(皇太子)
- 第三皇子
- 第四皇子
- 第八皇子
- 第九皇子
- 第十皇子
- 第十三皇子
- 第十四皇子
さまざまな資料・史料をみると、上記9人の皇子のうち多少なりとも“皇帝になる可能性があった”と考えられるのは、第二皇子(皇太子)、第四皇子、第八皇子、第十四皇子の4人。
この皇位争いと、若曦(じゃくぎ)との友情・恋愛が描かれているのが「步步惊心(歩歩驚心)」なのです。
「麗」と異なる点としては、
- 年長の子ども(第一皇子)が皇太子ではなかったこと
- 歴史上も、皇太子が次の皇位を継がなかったこと
などがあります。
解説:皇位争い
皇后(正室)の子どもである第二皇子・胤礽(いんじょう)は、幼い頃から”皇太子”として康熙(こうき)帝の愛情と期待を受けたといわれています。
しかし!
第二皇子の振る舞いに、多方面から苦情が出るように。
そのため一度、廃太子の憂き目にあうのです。
とはいえ、親心もあったのでしょう。
康熙(こうき)帝は、第二皇子に再出発の機会を与えること、周囲からも支持を受けることを望んでいたようです。
そのとき、周囲が次の皇帝に相応しいとこぞって推薦したのが第八皇子・胤禩(いんし)
彼は「八賢王」と呼ばれ、人望ある人物だったとか。
他の兄弟皇子たち……第一皇子、第九皇子、第十皇子、第十四皇子も第八皇子を支持します。
このときの第一皇子の軽率な言動、さらに第三皇子による牽制の動きもあり、第八皇子(と第一皇子)は、逆に康熙(こうき)帝から遠ざけられることに。
”第四皇子・胤禛(いんしん)”は廃太子(第二皇子)を支持していたので、康熙(こうき)帝から信頼を得ます。
その後、ふたたび皇太子となった第二皇子。
ですが、皇帝の器に相応しくない言動をとり続け、とうとう廃位のうえ幽閉されてしまいます。
第八皇子は、康熙(こうき)帝から完全な信頼を回復するのは難しく、次に多くの支持を集めたのが第十四皇子・胤禎(いんてい)でした。
実の兄弟でもある、第四皇子・胤禛(いんしん)と第十四皇子・胤禎(いんてい)による皇位争いは……第四皇子に軍配が上がることに!
ただ、これもスンナリとはいかず、2人の母である徳妃・烏雅(ウヤ)氏と第十四皇子による反発も「步步惊心(歩歩驚心)」のなかで描かれています。
この清王朝を舞台にした“九王奪嫡(きゅうおうだっちゃく)”が描かれた小説を元に、舞台を韓国・高麗王朝にうつしたドラマが「麗」
偉大な王(帝王)の皇子たちが後継者の地位を争い、第4皇子が王(帝王)になる……という流れだけでなく、調べてみると、いくつかの“似ている”点を感じます。
次に、主な登場人物について、原作での描写と「麗」での人物像を比較してお伝えします。
麗の原作(中国版小説)をネタバレ!〜人物像の比較(皇子)編~
まずは原作のヒロインから!
- 馬爾泰(ばじたい)若曦(じゃくぎ)
現代では”張暁(ちょうぎょう)”という名の25歳会社員
交通事故により意識を失ったあと、13歳の少女として目覚める
第八皇子の側室・若蘭(じゃくらん)の妹
「麗」では、解樹(へ・ス)
出典:https://programs.sbs.co.kr/drama/scarletheart
現代では”コ・ハジン”という名の会社員(化粧品販売員)
池に落ちて意識を失ったあと、高麗の少女として目覚める
第8皇子の正室へ・ミョンのいとこ
皇子たち
- 第二皇子:胤礽(いんじょう)皇太子
康熙帝の愛情と期待を受けて育つ
母は孝誠皇后(正室)
母系の大叔父・索額図(ソンゴトゥ)が後ろ盾
わがままで横柄な態度
廃太子となり復位するものの、態度は改まらず、康熙51年に廃位される
「麗」では、第1皇子・王武(ワン・ム)に相当?
太祖(テジョ)王建(ワン・ゴン)の信頼と期待を受けている
好人物であるが、強力な後ろ盾がいない
個人的には、第3皇子・王堯(ワン・ヨ)とのハーフ、またはブラック化した王武(ワン・ム)……という感じで捉えています
出典:https://programs.sbs.co.kr/drama/scarletheart/
- 第四皇子:胤禛(いんしん)
クールで感情を表に出さない
あまり他の皇子たちと交わらない
生母は徳妃・烏雅(うや)氏
養母は貴妃・佟佳(とぅんぎゃ)氏
※烏雅氏と胤禛の母子関係はあまりよくない
のちの雍正(ようせい)帝
第四皇子、第八皇子の美しい立ち姿
玉のごとく美しい二人の青年
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」上 より
張暁(ちょうぎょう)だった頃の私は雍正帝が大好きだった。
彼は皇位を争う時も、むごい手段は用いず、敵に情けをかけ、自分を厳しく律した人だ
第十四皇子と第四皇子の不仲は、子供のころから始まっているのだ。
活発な弟と陰のある兄という、性格の違いもあるかもしれない
同母兄弟であるにもかかわらず、第四皇子は孝懿仁皇后に育てられたので、徳妃が、自ら育てた第十四皇子のほうをかわいがってしまうのも無理はない
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」上 より
「麗」では、第4皇子・王昭(ワン・ソ)に相当
生母のもとではなく、ほかで養育された
兄弟でも、母の愛は兄・王堯(ワン・ヨ)と弟・王貞(ワン・ジョン)へ向かう
のちに”光宗(クァンジョン)”として王位につく
後世、政治手腕の評価とともに“血塗られた王”という呼び名をもつ
出典:https://programs.sbs.co.kr/drama/scarletheart/
- 第八皇子:胤禩(いんし)
穏やかで社交的
他の兄弟皇子たちからも慕われている
二十二、三歳で、背が高く
顔は玉のようで、目は星のように明るい
第八皇子が美男であることに間違いはない
第十四皇子が笑う。「八兄上は温厚なことで有名なんだ。誰に対しても礼儀正しく穏やかに接する人だ」
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」上 より
康熙帝が、胤禩(いんし)を後継者としない理由として挙げたのが“母の良妃が低い家柄の出身だったため”とも伝えられる(表向きの理由と考えられている)
「麗」では、第8皇子・王旭(ワン・ウク)に相当
文武両道で、高麗一の“脳セク男”
穏やかで人望厚い人物
家門の力が弱いが、王建(ワン・ゴン)の娘へ・ミョンが嫁いだことで、宮廷内での発言権を増すようになった
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- 第九皇子:胤禟(いんとう)
裕福な家柄
自身も財を築く能力に長けている
権力志向で日和見主義
官吏の着服問題での調査で、不正が発覚するなど裏のある人物
歴史的に悪人とされる第九皇子
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」上 より
父上が「若曦(じゃくぎ)は物を調達するのがうまい」と言っていたが、金品をかき集める腕まで高いとはな。
これなら九兄上と気が合いそうなものだが、実際は犬猿の仲というのがまた不思議だ
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」下 より
「麗」では、第9皇子・王垣(ワン・ウォン)に相当
裕福で、金銀に目がない
野心は強いが、自分に勝ち目がないと悟ると、より有利な方を味方する
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- 第十皇子:胤䄉(いんが)
背が低く小太り
(歴史的に)ボンクラと言われる第十皇子
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」上 より
初めて若曦(じゃくぎ)と出会った頃は、17、8歳
「麗」では、第10皇子・王恩(ワン・ウン)
いつまでも子どもっぽい
学問や武芸の出来はよろしくない
ヘ・スのケンカ友だち
出典:https://programs.sbs.co.kr/drama/scarletheart/
まさか、原作で“小太り”と描写されているとは思いませんでした!
- 第十三皇子:胤祥(いんしょう)
短刀で虎を仕留める武勇伝をもつかと思えば、詩歌にも造詣が深い
人々を魅了する声で歌い、琴や笛の名演奏家でもある
生母を亡くした後、第四、十四皇子の母・徳妃に育てられた
兄弟たちのなかでもっとも第四皇子・胤禛(いんしん)と親しい人物
命知らずの第十三弟に、酒で勝てるわけがないだろう(第八皇子)
実際に第十三皇子と話すうちに、これこそが本当の友だと思えた(若曦)
雄々しい体つきに、精悍な目鼻立ち、温かい笑顔にはおおらかさが漂っている
第十三皇子の何と魅力的なことだろう
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」上 より
「麗」では、第13皇子・王郁(ワン・ウク)/伯牙
母が新羅系の王族であったため、王位争いには加わらない
詩歌・絵画・音楽を愛する
後百済の末裔ウヒとの悲しい恋を経験し、独身を貫く
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原作では、武勇伝も併せもつ豪快かつ雅な人物。
身分の差を機にすることなく恋人を大切にし、モンゴルの王女のハートを盗むほど魅力的な皇子として描かれています。
- 第十四皇子:胤禎(いんてい)
第四皇子・胤禛(いんしん)の実弟
幼い頃から兄より第八皇子と親しい
康熙帝の息子の中で唯一の大将軍だ
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」上 より
戦で功をあげ、康熙帝の信頼を増す
周囲から、「後継者」とみられるようになる
「麗」では、第14皇子・王貞(ワン・ジョン)
第3皇子・王堯(ワン・ヨ)、第4皇子・王昭(ワン・ソ)の実弟
母である神明順成(シンミョンスンソン)王后・劉氏 (ユ氏)から、愛されて育った末っ子
年上のヘ・スへの想いをうちに秘め、“友”として支え続ける
兄ソの王位を最後まで認めることができない人物
出典:https://programs.sbs.co.kr/drama/scarletheart/
いかがでしょう?
主要人物たちのキャラクターは、原作小説の設定をもとに脚色されているように感じますね。
大きく異なるのは、
「步步惊心(歩歩驚心)」に登場する皇帝と皇子たちは18世紀の人物で、生没年などの記録が残っている
ということ。
つまり、「第〇皇子という呼び名」も、生年がわかっているからこそ可能です。
一方、ドラマ「麗」は、「麗~花萌ゆる8人の皇子たち~は実話?実在した皇子たちとその時代背景を徹底紹介!」でも紹介したように、生没年の記録があるのは第1皇子・王武(ワン・ム)、第3皇子・王堯(ワン・ヨ)、第4皇子・王昭(ワン・ソ)の3人のみ。
そのため、「麗」での「第〇皇子」という呼び名は、原作の登場人物に合わせて設定されたものが多いのです。
続いて、「麗」ではあまり登場しなかった人物たち……それは、皇子たちの妻の存在です。
第8皇子の妻、へ・ミョンを除けば、最初から正室または側室として登場する人物はいませんでした。(ストーリーの中で、婚姻により妻となる人物はいます)
そんな原作の女性の登場人物たちを詳しく見ていきましょう。
麗の原作(中国版小説)をネタバレ!〜人物像の比較(皇子夫人とその他)編~
まずは中心となる人物から!
皇子夫人など
- 郭絡羅(かくらくら)明慧(めいけい)
中国ドラマ宮廷女官若曦より、第八皇子と明慧さん pic.twitter.com/9nnQi6MIO2
— Hawaii-ikitaina (@kaigaidrmfan) September 23, 2014
第八皇子の正室
第3代皇帝・順治帝のいとこ安親王の娘を母にもつ名門
家柄から考えるとより良い条件の結婚相手はいくらでもいたが、明慧が第八皇子に一目惚れして嫁ぐ
気丈な女性
- 馬爾泰(ばじたい)若蘭(じゃくらん)
宮廷女官若曦より、若曦と若蘭さん!ほんと美人姉妹ですよね! pic.twitter.com/yHl0AWjSND
— Hawaii-ikitaina (@kaigaidrmfan) October 2, 2014
第八皇子の側室
満州族・馬爾泰(ばじたい)家の娘
第八皇子がその当時15歳だった若蘭を見初める
康熙帝から若蘭との婚姻を命じられ、喜びで迎えた妃
ある事情により、第八皇子と若蘭は心を通わせることが難しい
「麗」では、へ・ミョンに相当?
<へ・ミョンの明慧(めいけい)に似た部分>
- 王建(ワン・ゴン)の娘であり、家門の力が弱い第8皇子たちを助ける婚姻を自ら望む
- 夫・王旭(ワン・ウク)を慕うが、彼の感謝と尊敬を受けても愛を受けることが叶わない
<へ・ミョンの若蘭(じゃくらん)に似た部分>
- おとなしく、身体が丈夫ではない
- 詩歌など芸術に造詣が深い
- 郭絡羅(かくらくら)明玉(めいぎょく)
第十皇子の正室
第八皇子の正室・明慧(めいけい)の妹
康熙帝より第十皇子との婚姻を命じられ、正室に
※若曦と知り合ったころ、正式に夫人を迎えていなかったのは第十皇子のみ
(第四・十三・十四皇子も正室・側室を複数迎えていた)
若曦(じゃくぎ)とは少なからぬ因縁がある
「麗」では、パク・スンドクに相当?
パク・スンドクは、王族ではないものの、功臣パク・スギョンの娘で他の皇子に嫁ぐこともできる身分
一途に思う第10皇子との婚姻を望む
夫・王恩(ワン・ウン)がヘ・スを忘れられずにいる様子、親しい様子に胸を痛める
(悲しい結末となるが)愛を育み、相思相愛の夫婦に
明玉(めいぎょく)と第十皇子の2人も、何かと若曦(じゃくぎ)のことで喧嘩になる(笑)
皇子が明玉の尻に敷かれながら、やがて相思相愛の夫婦に
- 緑蕪(りょくぶ)
第十三皇子の恋人
妓生
皇子が心許し語り合える大切な女性
のちに幽閉される第十三皇子との子ども(娘)をもうける
皇子を心から慕うが、歴史的な事情により妃(側室)となることは叶わない
「麗」では、ウヒに相当?
身分を隠し、踊り手の一員として第13皇子・王郁(ワン・ウク)/伯牙と出会う
互いに惹かれあい、愛し合うが、越えられない過去がある
悲しい愛の結末を迎える
侍女
- 玉檀(ぎょくだん):若曦(じゃくぎ)の侍女
姉妹のように仲が良い
貧しい家庭に生まれ、字が書けない
幼い頃、ある皇子(=第九皇子)に助けてもらい恩義を感じている
「麗」では、チェリョンに相当
皇子たちの後継者争い、王朝の権力争いに心痛めるヘ・スを慰め支える
第9皇子・王垣(ワン・ウォン)のスパイとして、ヘ・スやヘ・スを通して王昭(ワン・ソ)らの事情を探る
光宗(ワン・ソ)の再三の警告に従わずにいたため、痛ましい最期を遂げる
慕い続けた第9皇子へ文を残す
続いて、ドラマ「麗」いくつかの場面と原作を比べてみましょう
麗の原作(中国版小説)をネタバレ!~ドラマの違い編~
ここでは、ドラマ「麗」の名場面はこのように描かれていた!として、記憶に残るシーンと小説での描写を比較してご紹介します。
ヘ・スと第10皇子・ウンの大ゲンカ
出典:https://programs.sbs.co.kr/drama/scarletheart/
相手が皇子であろうが、怯むことなく取っ組み合いのケンカをしたヘ・ス。
やられた第10皇子は、腹を立てつつ、次第にスのことが気になるように……
原作「步步惊心(歩歩驚心)」では
明玉は言った。「あなたもお姉様同様、礼儀知らずの女ね!」
私は平手打ちで、その声をさえぎった
明玉は侍女を押しのけ、私に平手打ちを返した
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」上 より
ヒロイン若曦(じゃくぎ)が取っ組み合いのケンカをした相手は、明玉姫。
女子のケンカ(つねる、ひっかく、髪を引っ張る等々 笑)を繰り広げたのち、2人とも湖に落ちてしまいます。
明玉を助けたのが第十四皇子、若曦を助けたのが第十三皇子。
この日は第十皇子の誕生祝いで、皇子たちだけでなく、名門の子息・令嬢も集まっていたのです。
驚きのあまり皆が静まりかえる中、皇太子(第二皇子)がこう言います。
「この娘は命知らずの十三弟の女版だな」
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」上 より
もちろん、その武勇伝は康熙帝の耳にも入り、
「いつのまに第十三皇子に妹ができたのだ?」
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」上 より
と冗談まで言われることに。
第10皇子・ウンの誕生祝い
出典:https://programs.sbs.co.kr/drama/scarletheart/
よきケンカ友だちとなった第10皇子のために、お祝いの歌と踊りを披露するヘ・ス。
この日は皇太子をはじめ、皇子たちも和気あいあいとした雰囲気。
原作「步步惊心(歩歩驚心)」では、
前述した若曦と明玉のケンカの直前のシーン。
「お祝いを渡そうと思ってきたの」
私が何も持っていないのを見て彼は言った。「お祝いはどこだ?」
手すりと一体になった木製の長いすを指さして私は言った。
「お座りくださいませ」
「香の煙に蝋燭は揺れ……
健勝を願い 長寿を祈る…….
めでたき宴は佳境を迎える」
最後まで歌い上げた瞬間、水亭の外から拍手が聞こえてきた
「十兄上がどこに消えたかと思ったら、ここで小舞台の鑑賞ですか」第十四皇子が入ってきた。そのうしろで第十三皇子が笑っている
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」上 より
こっそり第十皇子に歌を贈るつもりだった若曦ですが、第十三、十四皇子にも聞かれてしまいます。
結婚の話に大荒れする第10皇子
出典:https://programs.sbs.co.kr/drama/scarletheart/
ヘ・スに思いを寄せていた第10皇子ウン。
命じられ、大将軍パク・スギョンの愛娘スンドクと結婚することに。
結婚式当日まで自室に閉じこもり、酒浸りのウンを説得したのもヘ・スでしたね。
原作「步步惊心(歩歩驚心)」では、
中秋節の宴席で、ごきげん麗しい康熙帝からこう申しつけられます。
「郭絡羅(かくらくら)明玉を、正室として迎えよ」
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」上 より
心に若曦がいる第十皇子は、いろいろな理由をつけて断ろう(実際には皇帝の命令に逆らうことはできない)とします。
このままでは罰を受けかねない第十皇子。
第八皇子が助け舟を出し、イヤイヤながらも第十皇子は、
「父上に感謝いたします!」
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」上 より
と叩頭を行います。
その後、自室に籠り朝議にも出てこなくなった第十皇子。
若曦は、第十四皇子らから第十皇子の説得を頼まれます。
「ずっと酔っ払っているつもり?こうしていれば明玉姫を娶らずに済むとでも思っているの?」
「私の側室になってくれないか」
「きっと幸せにする。約束する……」
「いやよ」
「若曦、私のことが好きだったか?」
「好きだったわ」
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」より
ずっと聞きたかった、でも聞くのが怖かった若曦の答えを聞いて、やっと決心がつく第十皇子。
皇子は若曦に打ち明けます。
どんなに努力しても、他の皇子たちのように学問が身につかなかったこと、父である康熙帝の言わんとせんことを上手く汲み取れないこと。
若曦は、そんな第十皇子だから一緒にいて楽しいこと、嬉しいことを伝えます。
雪の中 ヘ・スの手を引く第8皇子・ウク
出典:https://programs.sbs.co.kr/drama/scarletheart/
第8皇子の足跡の上を大またで歩くヘ・ス。
バランスを崩しかけた瞬間に、彼女を支える皇子の手。
美しい雪景色とほのかな恋心が、まるで1枚の絵のようなシーンです。
原作「步步惊心(歩歩驚心)」では、
私はたくさんある中から、ヘリに白ウサギの毛がほどこされた赤い絹ちぢみのマントと、それに合わせた帽子を選び、少しでも早く雪を踏みしめようと外へ出た
夢中になって歩いていると、うしろから雪を踏む微かな音が聞こえてきて、誰かが私に追いついた
顔をあげると、そこには第八皇子がいた。彼は黒テンのマントに、ひさしのついた黒い竹笠をかぶっている
雪の下の石に足を取られ、私は唐突にバランスを崩した。転ぶと思った瞬間、私を支える彼の手があった
彼も何も言わず私の手をしっかり握り、離そうとしない。何度か手をほどこうとしたが、許してもらえなかったので、そのまま歩いた
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」より
第八皇子は比較的早い段階から、若曦への好意を態度に出します。
湖の小舟に乗る 第4皇子ソとヘ・ス
自分の居場所が見つからない第4皇子にとって、舟で横になるのは寛ぎのひとときです。
また、こちらの場面は ↓
出典:https://programs.sbs.co.kr/drama/scarletheart/
恵宗(ヘジョン)の体調悪化、王位をめぐる第8皇子との駆け引きなど、片時も気の休まらない第4皇子がヘ・スと舟で過ごすひととき。
彼にとって、心おだやかにいられる愛しい時間です。
原作「步步惊心(歩歩驚心)」では
康熙帝が避暑のため、紫禁城郊外の春園(ちょうしゅんえん)へ。
随行を命じられた若曦が庭園を見て周り、水辺で休んでいると、柳の枝のあいだに緑色の服を着た第四皇子が座っていた。
(第四皇子は)一人で橋のたもとへ行き、身をかがめて小さな舟を引き出した
「私は一眠りするから、ゆっくり考えるがいい。乗る決心がついたら起こしてくれ」
まどろんでいると、突然舟が大きく揺れた。
いつの間にか第四皇子が私の足元に座り、船べりについたひじに頭を乗せ、やさしい目でこちらをいていた
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」上 より
他の皇子たちも知らない、第四皇子の宝物。そして秘密の場所。
若曦だけが第四皇子の秘密を知り、こころの奥をのぞく場面です。
他にも
- ヘ・スの結婚を皇子たちが阻止(この時は、日頃の対立も忘れ力を合わせる)
- 雨のなか跪くヘ・スをマントで覆うワン・ソ
などの「麗」の名シーンを連想する場面がいくつも見られます。
となれば最終回の展開も気になります……よね?
原作には、「麗」最終回の場面を思い出させる描写満載!
この記事ではすべてを書ききれないくらいです。
そこで「麗の最終回結末(20話)をネタバレ!」と比較しながら、スピンオフ記事<「麗」の最終回を、原作の中国版小説と徹底比較!韓ドラ版最終回で描き切れなかった謎が次々と明らかに!>にて、紹介しています。
また、ドラマ「麗」原作「步步惊心(歩歩驚心)」両方で大きな意味をもつ“簪”についてもお伝えします。
次に、「麗」のラブラインについて、人物ごとに中国版原作との比較を、詳しく紹介します。
麗の原作(中国版小説)をネタバレ!~ラブラインの比較~
もう一回で歩歩驚心を見ました。ファンとして小説も読んだことあるけど、やっぱり中国バージョンは歴史ドラマ、韓国バージョンは恋愛ドラマ、でも両方好きだ!韓国に歩歩驚心をリメークしたことも驚いた。BGMも素敵😄😄 pic.twitter.com/i7rwuHDEtR
— 魔女愛多言語勉強中 (@xiaoai0623) August 8, 2020
「麗」では、ヘ・スを中心にした皇子たちとの恋(ときに友情)が描かれていました。
原作「步步惊心(歩歩驚心)」では、若曦(じゃくぎ)と皇子たちの恋模様だけではありません。
一夫多妻というしきたりの中で、女性たちが嫉妬する場面、片思いの痛みに涙する場面も見られます。
ここでは、「ラブライン」に特化して原作とドラマ「麗」を比較したいと思います。
若曦(じゃくぎ)と皇子たちの恋
① 第八皇子・胤禩(いんし)
雪の場面でも触れたように、第八皇子は早い段階から若曦(じゃくぎ)への好意を態度で示します。
若曦(じゃくぎ)も戸惑いつつ、穏やかで賢く、見目麗しい第八皇子へ惹かれます。
ただ、彼女の中には、彼の胸へ飛び込めない理由がいくつかあるのです。
- 張暁(ちょうぎょう)の心と記憶をもつ若曦にとって、一夫多妻制、しかも実の姉の夫へ嫁ぐことへ抵抗がある
- 歴史上、次の皇帝になるのは第四皇子
- 第八皇子はいずれ辛い立場になる
そのため、第八皇子の気持ちを受け入れる(結婚する)条件として「皇位を諦める」ことを提示。
第八皇子にしてみれば、自身の能力、支持者の数、皇子たちの協力などからも「諦める」という選択はありません。
そのため、若曦は第八皇子・胤禩(いんし)との別れを選びます。
(思いを寄せる人が少しでも辛い目にあわないよう、第四皇子とその側近らに気をつけるよう忠告する若曦:この行為がのちにさまざまな悲劇を引き起こす)
②第四皇子・胤禛(いんしん)
第四皇子との恋は、思わぬ形で始まります。
将来の「雍正帝(ようせいてい)」に粗相のないよう、人一倍気遣いをした若曦(じゃくぎ)
好みのお茶から、ほかの皇子たちが第四皇子を怒らせ、恨みを買うことがないようにするなど、気苦労が絶えません。
その言動が「若曦は第四皇子に気がある」もしくは「第四皇子の気を引きたい」と勘違いされます。
第四皇子も年始に贈り物をしたり、乗馬を教えたり……若曦を心に留めるように。
少しずつ相手のことを知るようになり、互いに惹かれていく若曦と第四皇子。
しかし、2人の恋はすんなり成就とはいきません!
- モンゴルの王様に気にいられた若曦との婚姻を皇太子(第二皇子)が望んだ
- 皇太子の政略結婚を阻止するため、第八皇子が仕掛けた罠により、皇太子のみならず第四皇子も窮地に
- 第四皇子を救うため、第十三皇子が無実の罪をかぶり幽閉されることに
- 若曦は、十三皇子の幽閉が10年にわたることを“歴史として”知っており、恋人・緑蕪(りょくぶ)のためにも康熙帝にある願い事を申し出る
- 若曦の行為が康熙帝の怒りを買い、罰を受けることに
これらの理由で、第四皇子が若曦を娶る話もないことに。
「忘れるつもりだ」「私も」と若曦と第四皇子は別れを選びます。
③第十四皇子・胤禎(いんてい)
ずっと若曦(じゃくぎ)のことを思い続けてきた第十四皇子。
第八皇子とうまくいくことを望んでいたのですが、2人が別れたため、父である康熙帝に若曦との婚姻を望むことを申し出ます。
第四皇子と若曦が近しくなっても、困ったときには必ず助けてくれたのも第十四皇子でした。
康熙54年のこと(小説内)
康熙帝から、第十四皇子との縁談を命じられます。
(康熙帝にとってはお気に入りの若曦を、もっとも信頼する息子・十四皇子に嫁がせたいという好意)
そのとき「嫌です」と答えたため、棒打ちの罰と浣衣局(かんいきょく)送りが決まる若曦。
それから6年ののち。
大将軍として華々しい戦果をおさめ、帰郷した第十四皇子。
3度目の若曦との婚姻願いを康熙帝に申し出ます。
このときになって十四皇子は、父の反対で結婚できないのではなく、若曦が自分との結婚話に「うん」と言わないためだと知るのです。
「心に想う人がいるのか」
「君が命がけで敏敏姫と競い合った時に決めたんだ。
これからは、十三兄のように、君に対してはよき友として正直に向き合い、大切に守っていこうと。
そしてそれを実行してきたつもりだ」
「私に嫁ぐのは嫌か?」私は小さくうなずいた。彼が笑う
「好きにしろ。だが、ここの生活に嫌気がさしたら、いつでも私のところに来い」
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」下 より
④ふたたび第四皇子・胤禛(いんしん)
康熙帝の体調悪化に伴い、浣衣局(かんいきょく)から宮廷へ、7年ぶりに呼び戻された若曦(じゃくぎ)
お茶菓子を康熙帝へ出すときに、第四皇子と再会します。
宮廷内では、次の皇帝は第十四皇子とみる者がほとんど。
(康熙帝がもっとも信用しているのが、十四皇子。次に第四皇子)
崩御のとき、康熙帝のそばにいたのが第四皇子の側近。
第十四皇子は遠く離れた戦地に。
こうして事前の計画通り、第四皇子は皇位を手に入れます。
「雍正(ようせい)帝」として即位した第四皇子。
10年にわたり身代わりとなって幽閉されてきた、第十三皇子を解放。
そして、十四皇子との結婚を断ったことで、浣衣局に送られていた若曦を厚遇します。
(妃の地位はないものの、周囲からは同等それ以上の扱いを受ける)
「私の子供を産み、君が子供たちに囲まれて幸せそうに笑う姿が見たい」
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」下 より
2人がやっと思いを通わせ、甘いときを過ごしたのも束の間!
若曦の妊娠がわかったのは、侍女・玉檀(ぎょくだん)が「第九皇子のスパイ」を続けてきたことで、残酷な最期を迎えたのと同時でした。
心揺れ動く若曦。
そこへ宮女を通じてメッセージが届けられます。
“もしすべてを手放せる覚悟ができたなら二・七が君の夢を叶える”
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」下 より
二・七(に・しち)=十四
若曦が宮廷を離れる力となる、と伝える第十四皇子。
⑤第十四皇子へ嫁ぐ
第八皇子の正室・明慧(めいけい)から“ある話”を聞かされる若曦(じゃくぎ)
第四皇子と第八皇子の対立が決定的になったのは、第八皇子による罠で皇太子だけでなく、第四皇子も窮地に陥った(そのため十三皇子が幽閉の憂き目にあった)ため。
当時、第八皇子と第四皇子は皇位争いの渦中にいたが、第四皇子を陥れようとするほどの恨みはなかった。
温厚な第八皇子が罠を仕掛けた理由、それは若曦が挙げた“注意が必要な第四皇子と側近たち”の忠告があったためと知る。
そのショックで、流産してしまう若曦。
そのことで、さらに第八皇子を追い詰める第四皇子=雍正帝。
全ての元凶が自身の発言だったと知り、思い詰める若曦。
第四皇子と第十三皇子に告白する。
第四皇子=雍正帝から出ていくよう言われたことも重なり、若曦は生きる気力を失ってしまう。
寝込む若曦を見舞う第十三皇子に、十四皇子への伝言があることを伝える。
「もし君のその望みを叶えたら、ちゃんと生き抜くと約束してくれるか?」
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」下 より
こうして若曦は紫禁城を離れ、第十四皇子のもとへ嫁ぐことになります。
※第四皇子=康熙帝が、若曦と十四皇子の結婚を認めざるを得なかったのは、先帝・康熙帝による2人の結婚を認めた聖旨が十四皇子の手元にあったため
若曦のこの先のストーリーは、スピンオフ記事「「麗」の最終回を、原作の中国版小説と徹底比較!韓ドラ版最終回で描き切れなかった謎が次々と明らかに!」に掲載しています。
第八皇子と正室・明慧(めいけい)、側室・若蘭(じゃくらん)
第八皇子に一目惚れして、家柄ではやや劣る皇子のもとに嫁いだのが正室・明慧(めいけい)
皇位争いに敗れ、また第四皇子に目の敵にされ、後半は苦労続きの夫を支え続ける
正室の地位にありながら、夫の気持ちが向かう若蘭(じゃくらん)に対抗心を燃やす
最後は、「若曦(じゃくぎ)の流産を引き起こした」(と罪を問われ)愛する夫と離縁することになり自害
第八皇子に見初められ、父の命により17歳で皇子に嫁いだ側室・若蘭(じゃくらん)
嫁ぐ前、父の部下である下士官と恋仲だった
第八皇子が元カレの様子を探らせたことが遠因となり、下士官は赴任地で死亡
そのショックで若蘭は流産する
この時のことが尾をひいて、若蘭は第八皇子に心を開くことができない
亡くなる直前に、故郷(元カレのいる場所)へ帰りたいと叶わぬ夢を語り、妹・若曦が願いでて、第八皇子は離縁することを承諾する
第十皇子と正室・明玉(めいぎょく)
若曦(じゃくぎ)が好きだった第十皇子
父・康熙(こうき)帝の命で、明玉(めいぎょく)を正室として迎えることに
結婚後も、何かと若曦を気遣う第十皇子に腹をたて拗ねる明玉
第八皇子派の夫・第十皇子は、第四皇子=雍正(ようせい)帝から事あるごとに難癖をつけられ叱責されることになるが、
「幸せを得たのは私よ。あの人(=第十皇子)に嫁ぐことができたんだもの」
引用:「步步惊心(歩歩驚心)」下 より
と語るくらい相思相愛の夫婦となる
第十三皇子と恋人・緑蕪(りょくぶ)
身分は低いが、心から皇子を慕う緑蕪
十三皇子がくつろいでお酒を嗜むことができる場所が、彼女のいるお店
のちに第四皇子をかばって第十三皇子が幽閉された時、緑蕪は皇子の世話をすることを願う
若曦(じゃくぎ)が緑蕪の願いを康熙帝に願い出たことで不興をかい、一晩中雨のなかひざまずく
※この場面で、第四皇子も若曦とともに雨に打たれる
第八皇子は「姉=若蘭に心配をかけるな」と去っていく
その後、第十四皇子の口添えもあり、緑蕪が第十三皇子の元へ
第十三皇子と緑蕪のあいだに女の子が生まれる
若曦が(2人の願いで)子どもに“承歓(しょうかん)”と名付ける
第四皇子のもとで「承歓」は育てられることに
※承歓:承歓膝下(親のそばに仕える、という意)から
第四皇子が雍正(ようせい)帝として即位したことで、第十三皇子と緑蕪は屋敷住まいに
十三皇子が緑蕪を正式に妃として迎えようとした矢先、緑蕪は川に身を投げてしまう
※緑蕪は”歴史書編纂にまつわり処罰された一族の末裔”だったため、皇子と一緒になることができず、死を選んだと思われる
愛する緑蕪を失い、失意の底にいる第十三皇子を慰め、励ますのが若曦
また、2人の子・承歓は引き続き、第四皇子=雍正帝のもとで育てられる
承歓がもっとも懐くのが若曦で、若曦も実の娘のように可愛がる
「麗」で第13皇子・王郁(ワン・ウク)と、後百済王女・ウヒの結ばれることのない愛を連想するストーリーです
ここで、原作小説の感想もひと言、ふた言、語ってみます。
麗の原作(中国版小説)の感想
清王朝初期に数々の功績を残し、繁栄の礎を築いた康熙帝。
「眉目秀麗(びもくしゅうれい)」な皇子たちが、次期皇帝への野心を秘め、ある時は華やかに、ある時は冷酷に競い合う。
あまたの皇子たちの中で、最終的に皇位を引き継いだのが第四皇子。
・・・とくれば、高麗王朝での歴史を思うのも自然な流れに思えます。
先に「麗」を見ていたからかもしれません。
「清」での物語なのに、原作小説の筆致からイメージされるのはドラマ「麗」の場面ばかりでした。
また、18世紀の清王朝(康熙帝〜雍正帝・乾隆帝)であれば、資料・史料も多く残っていることでしょう。
反面、女性の場合は、家名または位を表す程度しか、記録に残されていないのではないでしょうか。
だからこそ、皇子たちの間に“いたかもしれない”女性の姿を通して、歴史を眺めるという物語ができたのではないだろうか……などと思いを馳せています。
小説を読み進めていくと、国や文化の違いはありますが、細部まで作者の息遣いを感じながらドラマ「麗」が作られていったように思えます。
主要人物だけでなく、その周辺にいる人々のエピソードが、いっそう物語の世界の奥行きを広げてくれる作品です。
最後に、「麗」と中国版原作で王となった第4・四皇子について、歴史的な偉業とあわせて紹介します。
麗の原作(中国版小説)をネタバレ!~まとめ~
小説であれ、ドラマであれ、歴史上の事実や出来事・実在人物・舞台を変えることはできません。
原作「步步惊心(歩歩驚心)」は、紫禁城を主な舞台として、18世紀の清王朝における皇位争い(=九王奪嫡)が描かれています。
9人の皇子たちの中で、最終的に勝ち残ったのが第四皇子=雍正帝。
兄弟皇子たちや家臣などへの厳しい処遇という冷酷な面だけでなく
- 勤勉な王
- 倹約家
- 仏教を信仰
という面も
- 奴隷解放
といった業績もあります。
それを知ってドラマ「麗」を見直すと、松嶽山の麓・開城を主な舞台に10世紀の高麗王朝における王位争いという、似た部分がよく分かります。
8人の皇子たちの中で、皇太子、次いで第3皇子がそれぞれ恵宗、定宗として王位を継ぎ、第4皇子が光宗として即位する。
流れは異なるものの、治世の短い恵宗、定宗のあと光宗が26年も統治するのですから、ある意味太祖の後継者=光宗といえるのかもしれません。
「血塗られた王」と呼ばれることのある光宗も、
- 勤勉な王
- 仏教を信仰
という面も
- 奴婢按検法
- 科挙制度の導入
といった業績もありました。
歴史上記録にない女性を中心に、皇子たちとの華やかで悲しい恋もようを描いた「麗」
原作での詳細な背景を知ると、それぞれの登場人物の心遣いが体温とともに伝わってくるようです。
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